2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Nineteen --**
『いいえ、大丈夫ですよ。ご心配なさらないでください』
沼の精はワタシにニッコリと微笑みかけた。
『あなたが天に召されるとき、私はもう一度、会いに来ます』
さらにニッコリとした微笑みを向け、沼の精はワタシに言った。
「ねえ、ワタシは現実の世界じゃ今どうなってる?どれくらい意識を失ってるの?」
ワタシは妙に冷静だった。
まだ死んでいないと分かって、喜んでいいのかどうか区別がつかない。
あのまま死んだほうがよかったような気がする……。
『あなたは今、あなたが使っているベッドに寝ています。咳は落ち着き、点滴を受けています。あなたの手を男性が握っていて、その横には女性と男性がもう1人。3時間ほど経っているかと思われます』
沼の精はきつく目を閉じて、意識を集中させながらゆっくりと言った。
――直貴以外に思い当たる男性なんて……いた?
「……ちょっと待って。もう1人の男性って誰?」
驚いたワタシは問いただすように聞いた。