2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Nineteen --**
『申し訳ありません。お名前までは存じ上げておりません。でも、あなたの親しい方ですよ』
沼の精はそう言った。
たぶんヒデだ。
会いたくないというわけじゃないけど、会ったらお互い気まずい仲だ。
ワタシはとたんにシュンとしてしまった。
“このまま……”と思う自分がどんどん大きくなっていく。
「そうですか。……あの、ワタシは向こうに戻ってもいいんですかね?」
『なぜそう思われるのですか?』
「なぜって……みんなのためを思うと、どうしたらいいのか分からなくて」
すると、沼の精は小さくため息をついてワタシの目をじっと見た。
『小峯さん、あなた自身が“どうしたいか”が全てなのではないですか?』
「……え」
『あなたを信じている方を裏切るおつもりですか?』
「……」
『あなたは彼らのためにも、残された命を輝かせなければならないのです。これは義務です。迷う時間があるのなら、早くお戻りなさい』
沼の精はこのとき初めて怒った。