2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Nineteen --**



今日の栞は、今まで見てきた中で一番きれいで一番切なかった。


雪ちゃんに言われてそうしたんだろう。紺色の浴衣を着て、髪を一つにまとめて、化粧もすてきだった。


つき合っていた頃に一気に戻った気分だった。


でも、
なんでこんなに痩せちまったんだよ、栞……。


栞の後ろに立ったときも、手を握ったときも、一回り以上小さくなってしまった栞がいた。


雪ちゃんは、どんどん痩せていく栞を間近で見てきた。


栞を支えようという強い精神力。なんであの時、その気持ちが俺にはなかったんだろう……。


また“今さら……”が出てくる。今さら戻ったところで時間が戻るわけでもない。


今さら本気で覚悟を決めたって、栞に跳ね返されるのは目に見えて分かっていた。


俺は本当に弱くてずる賢い男だ。状況は違うけど、これじゃあ長坂さんと同じことをしているじゃないか。


絶対に許すもんかと思っていた嫌いな男と同じことをしていた自分が、情けなくて悔しい……。
 

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