2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Nineteen --**



時の流れが全身を切り裂く。
俺は半年前と変わらず、栞は半年前とはずいぶん違う。


俺は栞にかける言葉さえ持ち合わせていなかった。


栞が別れを切り出したときどんな気持ちだったか、今ならあの時よりずっと分かるのに……。


ヒデにひどいことを言われて心をズタボロにされて。


それでも俺に気づかれないように気丈に振る舞っていた。


今なら、どんなに辛かったか分かってやれるのに……。


後悔しても後悔してもし足りないくらい、俺は栞からずっと逃げてきた。


あれほど誓った気持ちなのに、栞を抱けないとか未来が想像できないとか……、俺は自分の都合ばかり考えていた。


こんな俺が、ずっと辛い思いをしてきた栞にかける言葉なんてあるわけがない。


自分だけの幸せを求めて、落ち着くところに落ち着いて、たった1本の電話で“やっぱり”と戻るなんて……。


栞にしてみれば、俺は迷惑以外の何者でもない。


本当に“今さら……”だ。
 

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