2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Nineteen --**
「安静にしていれば大丈夫です。意識が戻ったら声かけてくださいね」
夜勤の看護師さんが、栞の点滴を確認しながら俺と雪ちゃんに言った。
「疲れちゃったみたいですね。花火を見て興奮しすぎちゃったのかしらね」
優しいほほ笑みを俺たちに向け、その看護師さんは病室を出ていった。
「……雪ちゃん、ごめ……」
「栞ちゃんに負担をかけちゃったのはあたしも同じです。あたしのほうこそ、いろいろごめんなさい……」
俺の言葉を遮って、雪ちゃんは切なそうに悔しそうに言った。
「病室で待っていたとき、久しぶりにヒデくんから電話がかかってきました。……桃原さんは全部知っちゃったんですね」
「うん」
「栞ちゃん、桃原さんと別れた本当の訳は話してくれませんけど、ヒデくんの電話であたしにも分かりました」
「……そう」
雪ちゃんは目にいっぱい涙をためて、少しだけ笑った。
「でも……彼女さんがいたの知らなくて、あたし……。ごめんなさい」