2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Nineteen --**



「ううん。雪ちゃんが気にすることじゃないから」

「……あ、あの。栞ちゃんには」

「ちゃんと話す。向こうにもちゃんと話すから」

「そうですか。分かりました」


『ガラガラッ……!』


立ったままそんな話をしていたとき、ヒデが勢いよく病室に入ってきた。


「……!」


ヒデは、俺たちを見て……というか栞を見て、驚きのあまり目が点になった。


俺は無言でヒデに近づき、首根っこをつかまえて力任せに外に連れ出した。


『ダンッ!』


その勢いのまま、俺は廊下の壁にヒデの体を押しつける。


「殴られに来てくれたんだよな、ヒデ……」


ヒデの顔に息がかかるくらい顔を近づけて、唸るように言った。


ヒデは俺の目を真っすぐに見るだけで、何も言わない。


俺に怯えてるんじゃない。
栞に怯えている目をしていた。


胸ぐらをつかむ俺の左手にも、殴ろうと握った右手の拳にも力が入る。


「その目をやめろ!」
 

< 451 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop