2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Nineteen --**
「ううん。雪ちゃんが気にすることじゃないから」
「……あ、あの。栞ちゃんには」
「ちゃんと話す。向こうにもちゃんと話すから」
「そうですか。分かりました」
『ガラガラッ……!』
立ったままそんな話をしていたとき、ヒデが勢いよく病室に入ってきた。
「……!」
ヒデは、俺たちを見て……というか栞を見て、驚きのあまり目が点になった。
俺は無言でヒデに近づき、首根っこをつかまえて力任せに外に連れ出した。
『ダンッ!』
その勢いのまま、俺は廊下の壁にヒデの体を押しつける。
「殴られに来てくれたんだよな、ヒデ……」
ヒデの顔に息がかかるくらい顔を近づけて、唸るように言った。
ヒデは俺の目を真っすぐに見るだけで、何も言わない。
俺に怯えてるんじゃない。
栞に怯えている目をしていた。
胸ぐらをつかむ俺の左手にも、殴ろうと握った右手の拳にも力が入る。
「その目をやめろ!」