2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Nineteen --**



『ボガッ!』


俺はヒデの左頬を渾身の力を込めて殴った。


「うっ……」


ヒデは少し呻(ウメ)き声を上げた。


「栞の前で1度でもそんな目をしてみろ。立てなくなるまで殴ってやる。覚悟しとけよ」


体勢が崩れかかったヒデに、俺は吐き捨てるように言った。


ヒデの唇の端からは、強引に切られた皮膚から血がツツーッと流れていた。


「……お前はそれでいいのか」


血を拭いながらヒデが聞く。


「構わない。死ぬまでそばにいる覚悟はできてる」

「……樹紀みたいになるんだぞ?お前はまた置いてかれんだぞ」

「栞と樹紀は違う。最期をちゃんと看取りたいんだ」

「……」

「理解できないなら帰ってくれ。お前の顔なんて見たくない」


俺がそう言って病室へ戻ろうとすると、ヒデは俺の腕をつかんだ。


振り返った俺の目に真剣な目をしたヒデが映る。


「直貴がそれで構わないなら俺は何も言わない」
 

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