2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty --**
幸せな時間は過ぎるのが早いとよく人は言うけれど、それは本当だった。
また季節は足早に過ぎていき、もうすぐ10月に入ろうとしている。
ワタシはいよいよ本当に立てなくなり、移動は車椅子でないとできなくなった。
食欲もガクンと落ちて、物が喉を通ってくれないようになった。
それでもワタシは、この上ない幸せを感じている。
間違いない。
ワタシは今、幸せの絶頂にいる。
だってそうでしょ?
時間を見つけては直貴たちが毎日お見舞いに来てくれる。
ワタシのためにと、しばらく封印していたビデオカメラまで引っぱり出して、映像を残してくれている。
まだなんとか自力で書ける思い出ノートは3人には隠してあるけど、それ以外は特に隠し事なんてなく、ワタシの病室にはいつも笑い声が響くようになっていた。
直貴と、雪と、ヒデと。
……それからワタシ。
最近は眠っていていることが多くなったけど、それは3人が来たときのために体力を温存していたかったから。