2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty --**
「……もしかして、直貴とおつき合いされてた方ですか?」
「え……」
木村さんの表情が変わった。
名前は聞かなかったけど、直貴はワタシに彼女がいたことを包み隠さず話してくれた。
つき合い始めたキッカケとか期間とか、やきもちをやいちゃうくらい、それはもう全部。
そのあとに、
―『大事に思ってるのは栞だけだから。ちゃんと話して分かってもらうから、負い目を感じることなんかないんだからな』―
と言ってくれた。
その話を聞いて、ワタシはその彼女のところに戻ったほうがいいと何度も説得したけど、直貴は頑固なまでに“うん”と言ってくれなかった。
ワタシは、心の奥でそのことがずっと引っかかっていた。
直貴といられることは、もちろんうれしい。
だけど、未来を捨ててまでワタシのところに戻ると言った直貴の、今後のことがたまらなく心配なんだ。
女には分からない“男のケジメ”っていうのかな?
そんなのはいいのにな……。