2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
「いい加減にしないか、直貴!」
「そうよ、何も病気の子を……」
父ちゃんが怒鳴り、母さんは涙声で訴えかける。
「結婚を認めてください!」
俺は、母さんと父ちゃんになんとか栞との結婚を認めてもらおうと頭を下げ続けていた。
8月の花火大会のすぐあと、俺は意を決して香織に別れ話を切り出した。
大モメになるかと覚悟をしていたけど、香織は驚くほどあっさりと「分かった」と言ってくれた。
「汚いまねをして悪かった」
と頭を下げると、
「私も同じようなものだから。直くんだけは責められないよ」
と香織は言った。
栞のことも、言える範囲でできるだけ話した。
病気だということ、半年以上も入院していること……。
俺が支えになってやりたいと心から思っていること、この気持ちは同情じゃないってこと。
栞に家族を作ってやりたいと思っていること――つまりは“結婚”したいということ。