2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
別れ話の最中に、いきなり結婚まで話が飛ぶのはおかしいことだろうか……?
あのとき、香織もポカンと口を開けていたっけ。
でも本当に栞には時間がないし、俺も早く離れていた時間を埋めたかった。
その一心で香織と別れ、今は両親に土下座をしてまで頼んでいるんだ。
それに、どうしても結婚したい理由はもう1つあった。
栞の家族のこと……。
8月の終わり頃の週末、シフト休みが重なったため、俺は朝から栞の病室に行っていた。
そのときはヒデと雪ちゃんはいなくて、夕方まで2人きりで過ごしていた。
そこで聞いた、栞の壮絶な過去。今まで、誰かに……雪ちゃんにだって話していなかったであろうことを、栞は涙ながらに俺に語ってくれたんだ。
“ネグレクト”。
虐待の一種だそうだ……。
俺は、そんな言葉があるなんて今まで知らなかった。
両親の愛を受けて育った俺とはまるで違う世界の話で、俺は胸が締めつけられる思いだった。