2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Twenty --**



栞の母は栞が物心つく前に家出。あとに残された幼い栞と父親は、それでも母親は戻ってくると信じて待ち続けたそうだ。


そのあとの父親は自分の身を削って昼も夜も働き、栞が小学校に上がる前にそれが原因で亡くなった……。


栞の父親は、自分たちの生活費のほかにたくさんの貯金までしていたそうで、亡くなったあとに通帳が見つかったらしい。


栞名義の通帳には、栞が成人するまでにかかるであろう額の貯金がしてあったと……。


それは、栞が使っていたランドセルの一番見つかりにくいところに隠してあったそうだ。


そこからは父方の親戚中をたらい回しにされ、保険金やら何やら、金と名が付くものは「養育費だから」とわけも分からないうちにむしり取られてしまったそうだ……。


なんて壮絶な過去なんだろう……俺は言葉を失っていた。


わずか7歳の子どもが体験するには、あまりにも過酷で悲しくて寂しくて……。


目も耳もふさぎたくなるほどの、想像を絶することだった……。
 

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