2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
“金の切れ目は縁の切れ目”。
この言葉を知っているだろうか。
この言葉が示すように、栞の親戚たちは栞を奪い合うようにして金を巻き上げていった。
一番最後に引き取られた家では、もう栞に残された金は父親が残してくれた貯金しか残っていなかったそうだ。
でも栞は、父親の形見だからと通帳のことは誰にも話さなかった。
すると、逆上した親戚は幼い栞にろくな生活環境すら与えずに放置……。
着る服だって食事だって、ほとんど世話らしい世話をしなかったそうだ。
それが10歳の頃。
あっちこっちの親戚に引き取られるたびに転校を繰り返していた栞には、親しいと呼べる友人はいなかった。
父親と母親のことがあったから、栞は“自分は置いていかれる”という擦り込みができていて、うまくクラスに溶け込めなかった。
小学校4年生の頃に転校した学校では“毎日、同じ服しか着てこない”という理由でイジメにあい、親戚の家では透明人間のように扱われた。