2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
栞が戻る場所がないと言うなら、俺がその場所を作りたい。
栞が安心して眠れる場所を作ってやりたい。
たったこれくらいしか、何の力もない俺にはしてやれることがないから……。
「父ちゃん、母さん、今まで俺はいろんなことを諦めてきたけど、これだけは諦めたくないんだ」
栞のことを想いながら、俺はイライラしてため息ばかりをつく2人に頭を下げ続ける。
「何を諦めてきたと言うんだ、直貴は!お前がやりたいと言ったことはやらせてきただろうが」
父ちゃんが怒鳴り声をあげる。
「俺の夢だって樹紀のことだって諦めた。彼女のことも、一旦は諦めた」
ひんやりとした床におでこをつけながら俺は言った。
「ハァ……。お前が何と言おうと父さんは認めない」
「そうよ。母さんだって反対するわよ……」
夫婦揃って突っぱねられた。
でも俺は負けない。
「うちの墓に入れてやりたいんだよ、うちで葬式を出してやりたいんだよ!」