2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
「何で他人のお前がそこまでしなきゃならないんだ!自分の体を売るような女となぜお前が結婚しなきゃならないんだ!」
『ガシャーン!』
父ちゃんは、テーブルに置いてあったコーヒー入りのマグカップを床に叩きつけた。
そのマグカップは、俺の頭の先スレスレのところで粉々になった。
コーヒーのしぶきを頭からかぶった俺は、髪の先からポタポタと焦げ茶色の雫をたらす。
――“自分の体を売るような女”だと……?
父ちゃんに栞の何が分かる?
確かに不倫が原因だけど、でも今は違う。
栞は変わったんだ。
やっと変われたんだ。
俺はカッ!と目を見開き、のっそりのっそりと威圧的に父ちゃんに詰め寄った。
「たとえ親だろうが栞を侮辱する言い方は俺が許さねぇ!」
そう言いながら、勢いをつけて父ちゃんの顔面めがけて右ストレートを繰り出す。
「父親を殴ろうなんて恥知らずもたいがいにしろ!」
父ちゃんは俺の腕を取った。