2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
自分の無力さに泣いているのか、栞を侮辱されたことに泣いているのか……。
理由なんていっぱいありすぎて、もうよく分からない。
1ヶ月あまりこうして頼んできたけど、あんなに派手に殴られたのはこれが初めてだった。
今までの人生の中でも、父ちゃんに殴られたのは数えるくらいしかない。
その中に今日のことが加わった。殴るといっても、あそこまで力を込められたことはなかった。
あれは、父ちゃんの渾身の一撃だったんだ。凄まじい鉄拳だった。
俺は、手当てもろくにしないで2階の自分の部屋に入った。
父ちゃんは頭を冷やせと言ったけど、俺はいたって冷静だった。
栞の許可なくこんなことをしているのは、栞に話したら何が何でも止められると思ったからだ。
それこそ“頭を冷やせ”と言われかねない。だから俺は、なんとか結婚を認めてもらおうと頑張っているんだ。
次の日の仕事終わりに病室に行くと、栞は気持ちよさそうに眠っていた。