2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Twenty --**
栞の寝顔を見るだけでも、俺にはこの上ない力になる。
――また今日も父ちゃんと母ちゃんを説得しよう。
そう自分を奮い立たせてくれる力が栞にはあるんだ。
電気もついていない暗い部屋は、窓から入るわずかな街灯の光だけだった。
しばらく寝顔を眺めていると、ヒデと雪ちゃんが入ってきて、俺のアザを見て驚いていた。
でも俺は、仕事で運んだタンスが当たったと嘘をついた。結婚のことは、2人にはまだ内緒にしておきたかったから。
次に2人が驚いたのは、誰かがお見舞いに来た形跡を見つけたときだった。
俺は栞の寝顔に夢中で、花とかフルーツがあったなんて気づきもしなかった。
3人とも“誰からだろう?”という疑問を抱きつつも、花を花瓶に移したりフルーツを切ったりと、できるだけのことをして帰ることにした。
栞が寝ているのだから、わざわざ起こすバカなまねなんてしない。
栞の様子を少し見れるだけで、俺もヒデや雪ちゃんも安心できた。