2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty one --**
「あ、いや。……大丈夫、なんでもないよ」
直貴は慌てた様子でそう言った。
直貴にも、昨日来た人が誰のか察しがついたのかもしれない……。
木村さんの話は前に聞いたことがあるから、変に隠そうとしたり嫌な気分になることはお互いにないと思う。
ただ2人とも話しにくいだけで、どういう感じで話し出したらいいのかがまだつかめないだけ。
――困ったなぁ……。
オレンジをほおばりながら、ワタシは微妙というか複雑というか、そんな気持ちで直貴を見ていた。
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10月中旬。
あれから3週間くらいが経った。でもワタシたちには、木村さんのことはまだ話に上がっていなかった。
幸せな時間は過ぎるのが早いと感じていたけど、それも今では、小さな悩み事があっても同じスピードで時間は過ぎるんだと知った。
あれから木村さんは病室に来ないし、帰り際に言ったことも、ワタシには謎のままだった……。