2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty one --**
――“幸せだった”って言って死ねるのかな……。
ほんの小さなことなのに、ただ直貴に話せばいいことなのに、ワタシの頭の中には不安が芽生えていた。
直貴のアザはだいぶ治った。
だけど、最近は何かに焦っているというか、うまくいかないことを抱えているというか……今までワタシが見てきた穏やかな顔の直貴じゃないような気さえする。
そのことも木村さんが残した謎と相まって、ワタシをさらに不安にさせていく。
入院生活の楽しみって、ワタシにとっては直貴たちに会えることだけだから。
外の世界の話を聞くのがどれほど楽しみなのか、長く入院している人なら分かってくれるのかな。
1人きりの病室で3人を待っている日中がどれほど寂しいものなのか、入院している人なら分かってくれるんじゃないのかな。
やりたい事もないし、自分でできることだってどんどん減っていく……。
些細なことでナースコールを押すのだって、泣きたくなるくらいに増えてしまった。
情けない……。