2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty one --**



父ちゃんに殴られた次の次の日、その日は起きている栞に会えた。


それは良かったことなんだけど、雪ちゃんが言った、


「女の人なんだね、お見舞いに来てくれた人」


を聞いたとき、香織が来たのかもしれないと不安がよぎった。


栞は“病院で知り合った人が持ってきてくれた”と言っていたけど、俺に気を遣って本当のことを言わなかったのかもしれない。


栞と結婚を考えているのを打ち明けたのは、家族以外ではまだ香織しかいなかった。


香織が余計なことを言ったんじゃないだろうかと考えると、なかなか栞の目を見れない俺がいた。


後ろめたいことなんてないんだ。ただ、結婚のことは親が許してくれるまでは秘密にしておきたいだけなんだ。


女性はサプライズに弱いという世間の一般的な見解に、栞だって当てはまるから。


ネックレスを渡したときもそうだったから、婚姻届と結婚指輪を一緒に渡して、栞を幸せな気持ちにさせてやりたいだけなんだ。
 

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