2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty one --**



数日後。
まだアザが色濃く残る顔で、俺は香織に会う約束を取りつけた。


適当な喫茶店に呼び出して、香織が来るのを落ち着かない気持ちで待っていたんだ。


店の奥のほうの席でコーヒーを飲みながら待っていると、久しぶり見る香織の姿が目に入った。


「……久しぶり。呼び出して悪かったな」

「ううん」


先に声をかけた俺に、香織も落ち着かない様子で席についた。


「……」

「……」


しばしの沈黙が流れる。
もし栞に会いに行ったのなら、そこで何を言ったのかを知るために来てもらったのに、うまく話が切り出せなかった。


無言のまま時間が過ぎ、香織の前にはオレンジジュースが運ばれていた。


「聞きたいことがあるんだけど」


意を決して俺は話を切り出した。


「ごめんね、余計なことしちゃったね。小峰さんのお見舞いに行ったの、私だよ」


香織は俺を真っすぐに見て、大胆にも栞に会いに行ったことを告白した。
 

< 489 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop