2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- another side
     Twenty one --**



あたしとヒデくんだって、今でこそ普通に話せるようにまで関係は回復したけど、好きかどうかなんてまだ分からない。


桃原さんやヒデくんを栞ちゃんのところへ戻したのはあたしだけど、心のどこかで“今さら”ということが抜けきれていない。


半年分のあたしの友情や努力が、なんだか軽いものに思われているようで嫌なんだ。


桃原さんに栞ちゃんに会いに来てと電話をかけていたときは、栞ちゃんが夢でうなされていたから。


たまに「直貴……」って、涙を流しながら桃原さんを呼んでいたから。


そんなことは栞ちゃん本人には話していないけど……。


口では「もういいから」なんて気の強いことを言う栞ちゃん。


だけど本当は、ずっと桃原さんを想っているんだ。


そう思ったから、あたしは桃原さんに連絡を入れ続けていた。


栞ちゃんに隠し事をしていたのは分かっていても、それでもあたしは、少しでも栞ちゃんの気持ちが軽くなれば……と思っていた。
 

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