2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty two --**



しばらくすると、


「栞、また明日も来るからな」


と直貴が言った。


その言葉が合図になって、


「また明日ね、栞ちゃん」

「また明日」


と、雪とヒデもワタシに一言ずつかけてから帰っていった。


さまざまな機械の音が響く集中治療室に残されたワタシは、やっと目を開ける。


切なさや心細さ……それでも3人が来てくれたことに対する感謝の気持ち。


弱虫なワタシは、明かりが落とされた集中治療室という新たな場所で、拭うことさえできない涙をボロボロ流した。


“死”に体の半分以上を突っ込んでいる今のワタシには、涙を拭う力も気力もなかった……。


直貴とした“いつか”の約束も、今じゃもう泡となって消えてしまった。


だから言ったのに。
遊園地も水族館も、全部1日で見て回りたいって……。


直貴のバカ。
もったいぶったって結局はダメだったじゃん……。





ワタシは、泣き疲れて眠るまでずっと泣き続けていた。
 

< 511 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop