2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty two --**
――なんで俺には力がないんだ。
悔しくて悔しくてたまらない。
仕事場と病院を往復する毎日の中に、俺は小さな希望すら見いだせていなかった。
反対され続ける栞との結婚……。
どんどん病状が悪化する栞……。
教師になるための勉強をはじめてはいたけど、勉強中も考えることはただ1つしかなかった。
栞。
栞のこと以外に、ほとんど意識が集中できなかった。
栞の“死”に対する恐怖と絶望、それと、近くにいるだけで何の力にもなってやれない自分自身への怒りと失望……。
俺は毎晩毎晩、暗い部屋で声を殺して泣いていた。
栞やヒデや雪ちゃんには見せられない涙を、俺は自分の部屋で流し続けていたんだ。
いつの間に俺はこんなに泣き虫になったんだろう……。
栞が元気になれるならどんなことでもしてやりたいのに、俺が持っている力は引っ越しで鍛えられた筋肉と体力くらいしかない。
そんな力、何の足しにもなりはしない……。