2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty two --**
ぶっ壊したくなるほどに毎日は淡々と過ぎていく。
徐々に秋も深まっていき、もうすぐ栞と出会って1年が経とうとしている。
仕事中のトラックの中から見える外の景色、街に出かけたときの空気感……。
どれをとっても1年前と何一つ変わらないのに、栞の体にだけは、着々と真っ暗な未来が近づいている。
イチョウの葉が風に飛ばされて歩道を黄色に染める。
どの季節よりも空は高く澄んで、少し時期外れの赤トンボがゆらゆらと力なく空を飛んでいる。
街を歩く人たちは秋から冬へと装いを変え、ショーウインドウに飾られたマネキンには厚手のコートやマフラーが巻かれはじめた。
どれも去年と変わらない。
何も変わらないのに、どうして神様は栞を連れていこうとするんだろう。
どうして俺から栞を奪おうとしているんだろう……。
世の中、不公平なことだらけだ。
栞をつかまえようともがけばもがくほど、栞は俺からどんどん離れていく……。