2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty two --**



アルバムの8月の写真まで見たあとは、決まってそれをビリビリに引きちぎりたい衝動にかられる。


適当な写真を取り出しては、素手でビリビリに破ろうとするんだ。


でも、いつも寸前とのころで踏みとどまって、その写真を元の場所に戻す……。


そして今度は、アルバムごとゴミ箱に投げ入れようと狭い口に狙いを定める。


でもそれも、寸前とのころで踏みとどまって、投げることもできない。


勉強しようと机に向かうけど、いつもそんなことばかりをしてしまうんだ。


だって机の引き出しの奥には、そのアルバムが常にしまってあったから……。


取り出して見ずにはいられない、栞との思い出が詰まったアルバムなんだ。


あまり物を置きたくない主義の俺の部屋には、机の引き出し以外にアルバムをしまっておける場所なんてない。だから俺は、そこにしかしまえないんだ。


毎晩毎晩、恒例行事みたいにアルバムを見ては1人で泣く、そういったことの繰り返しだった。
 

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