2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty two --**



ガチャッ。


入ってもいいなんて一言も言っていないのに、父ちゃんは勝手にドアを開けてツカツカ中へ入ってきた。


俺は、父ちゃんに背中を向ける格好で机に向かって座っていた。


父ちゃんが近くに来る前に、俺は見られないようにこっそり涙をふいた。


「これ、母さんが冷凍庫から見つけてな……」


俺の右隣に来ると、父ちゃんは俺に見えるように小さな箱を差し出した。


――これ?


俺はその言葉に反応し、箱のほうに少しだけ目を向けた。


その箱が目に入るやいなや、俺の目はカッ!と見開かれた。


……そう。
バレンタインに栞がくれた、俺の顔を型どった手作りチョコがたくさん入った箱。


俺の目線は、その箱から父ちゃんへと流れるように移る。


「……」

「……」


目が合った俺と父ちゃんは、少しの間見つめ合ってしまった。


父ちゃんはいつもの厳格な父ちゃんの顔をして、じっと俺を見ていた。
 

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