2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty two --**



俺には、その父ちゃんの顔が意味することが分からなかった。


今年で50歳になった父ちゃんの顔にはシワが刻まれ、それがかえって俺に心理を読ませまいとしているように見えた。


コトッ。


その箱を静かに机に置くと父ちゃんは俺のベッドに腰を下ろした。


そして、口の前で指を組みながら言葉を探しはじめた。


その様子を、俺はただじっと見ているだけだった。


「……直貴には悪いと思ったが、箱の中を見させてもらった。その病気の彼女からもらったものか?」


父ちゃんが聞いた。


「……まだ元気だった頃に」


俺は静かに答えた。
勝手に箱の中身を見られたことには腹が立った。


でもこの展開は、栞がどんな人かを知ってもらえるまたとないチャンスだ。そこはグッとこらえた。


「そうか。……よくできた顔だ。器用な人なんだな」

「料理だって上手かった」

「……そのアルバムは何だ?彼女も写っているのか?」
 

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