2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty two --**



それがうれしくもあり……やっぱり悲しい。


俺は、いつも栞から大きな気持ちをもらってばかりだ。


その気持ちに応えられなかったときもあった。そばにいることを諦めたときもあった。


だけど、今思い返せば俺のこの1年は栞の存在なくしては語れないものだ。


栞の気持ちに応えられるのは、今がラストチャンス……。


栞から特大のチャンスをもらったと思って、この先、父ちゃんと母さんを説得しようという思いがさらに強くなった。


父ちゃんと母さんが首を縦に振ってくれれば、ヒデと雪ちゃんもそうしてくれるかもしれない。……あとは栞だけだ。


淡い色だった期待が、どんどん濃くはっきりとした色の期待へと変わっていく。


いつも泣いてばかりだった俺の部屋に、久しぶりに笑顔が戻った瞬間だった。


少し開いた箱の中からは、甘いチョコの香りが漂っていた。


箱を開けてチョコを1つ取ってみた。……そして、じっくり眺めたあとに口に入れる。
 

< 522 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop