2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty two --**



口の中でゆっくり溶けていくチョコは、確かに“愛”の味がした。


すごく甘くてほろ苦くて……それでいて、涙で少ししょっぱい味がした。


熱く燃え上がるようなキスをしたこともなければ、興奮と幸福が全身を震わせるように体を重ねたこともなかった。


だけどこのチョコから確かに感じるのは、栞から俺へと向けられた“愛”だった。


栞が“生涯をかけて愛する”と言ってくれているような、そう思わせる味だった。





栞、俺の愛は栞に届いているか?
何もしてやれない俺だけど、それでも栞が望むなら、俺はいつでも栞のそばにいてやるからな。


もうすぐだ。
もうすぐ、俺からの愛を形にして栞に贈るよ……。


だから、そのときは素直に受け取ってくれ。


……愛してる。





それから1週間ほどした10月の終わり、父ちゃんと母さんが栞に会いに行くという前の日……。


栞は集中治療室へと移されてしまった……。
 

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