2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty two --**



やっとここまで来たのに。
やっと2人が栞に会いに行くと言ってくれたのに……。


父ちゃんと母さんは、どれほど頭を痛めて会いに行くと言ってくれたことか。


まだ完全に認めてくれたわけではないけど、それでも俺や栞を思ってそうしてくれようとしていたことか。


いくら親不孝な俺でも、それくらいは分かるよ。


でも……。
でも、どうして俺たちはこうもすれ違ってばかりなんだろう。


ほとんど1日中眠り続ける栞は、まだ何も知らない。


俺が愛を形にして贈ろうとしていることも、両親が会いに行くことを決めてくれたことも……まだ何も知らない。


栞の容態は一進一退を繰り返し、とてもじゃないけど長く話をしたり両親と会わせることは難しい状態だった。


ヒデと雪ちゃんには、両親のことは話してあった。


ただ、栞に負担をかけないようにと、俺が黙っていてほしいと頼んだんだ。


栞、俺の気持ちを届けるから、早く俺の顔を見てくれ……。
 

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