2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty three --**
ある日の夕方、5時を少し回った頃だったと思う。
半分くらい欝(ウツ)になっていたワタシに、珍しい人が会いに来てくれた。
「久しぶりね、小峯さん。調子はどう?」
ニコッと笑いながらワタシの前に現れたのは、仕事終わりだと思われる三浦さんだった。
「……」
ワタシは目を丸くしてしまった。ここへ移ってからは、もう三浦さんには会えないと思っていた。
三浦さんも忙しい人だから、まさかここまで来てくれるなんて思いもよらなかった。
三浦さんは、目を丸くするだけのワタシにさらにニコッとした笑顔を向け、近くの椅子に座った。
「頑張っているわね、小峯さん。あの男の子……えーっと、ほら」
「桃原直貴……?」
「そう、その子。その子が来るようになってからは特に」
三浦さんは、切なくて悲しそうな顔で少し笑った。
「看護師さんがそんな顔していいんですか?……泣きそうな顔しないでくださいよ」
「……そうね。ごめんなさい」