2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty three --**
三浦さんは、仕事に私情を挟まない人だ。その三浦さんが、ワタシを見て悲しい顔をするとは思っていなかった。
「……いいんです。この状態を見れば誰だって死にかけだって分かりますよ」
「そんなこと言わないでよ……」
冗談のつもりで言ったのに、三浦さんは真に受けてしまったみたいだ。
……笑ってもらえなかった。
「すみません」
「ううん」
そのあと、三浦さんは気を取り直すかのように小さく息をはいた。
「……ベッドを直しているときにね、このノートを見つけたの。枕の下で」
黒い皮のバッグからノートを取り出し、三浦さんはワタシの胸の辺りにそれを置いた。
「……どこに行ったのかと思ってました。よかったです」
力の入らない手でノートの感触を確かめながらワタシは言った。
「大事なものなのね」
「はい。思い出ノートなんです、死んだときに持っていく幸せな思い出だけを書いた」
「そう……。見つかってよかったわ」