2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty three --**
三浦さんがあまりにも優しく微笑むものだから、ワタシもつられて少し笑ってしまった。
自分の担当じゃなくなってもこうして忘れ物を届けに来てくれる三浦さんは、すごく優しい人だと思った。
普通だったら人づたいにして渡されるものなんだろうけど、ワタシを気にかけてくれることがうれしかった。
ワタシは、三浦さんに胸中を思い切って話してみることにした。
この病院の中で唯一ワタシが心を許せる人は、ずっと担当してくれていた三浦さんくらいしかいなかった。
ほかの先生や看護師さんたちにはうまく心が開けないままだった。
何と言ったらいいか……。
三浦さんは、ワタシが小さい頃から思い描いていた“お母さん”みたいな存在だったから。
「……ねえ三浦さん、ワタシね、みんなが来ると寝てるふりをしちゃうんです」
「どうして?」
「怖いんです……、みんなが無理して笑ってくれるから。それが怖い」
「そうね。確かに怖いわね。そう言う患者さんも数えきれないくらいいたわ」