2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty three --**
「でもね、最期にはみんなの顔を見て死にたいんです。……矛盾してますよね」
「ううん……人は誰しもそう思うものよ。患者さんの苦しみは、患者さんにしか分からないものだから。いくら親身になってお世話をしたって、心まで届かないこともあるもの」
「そうですか」
「そうよ?長くこの仕事を続けているとね、無力だなって感じることが多くなる」
そう言って、三浦さんはバッグの取っ手をギュッと握りしめた。
「……三浦さん、三浦さんはすごくいい看護師さんです。お母さんみたい……」
ワタシは、三浦さんが好きだ。
こんなに優しい人、今までに見たことがない。
ワタシの周りの大人たちは、いつもワタシの敵だった。最後に信じられる大人に会えてワタシは幸せだ。
ワタシを助けてくれた保健の先生と並んで、三浦さんはワタシの大事な人なんだ。
「お母さんだなんて……。うれしいこと言ってくれるわね、小峯さん」
「いえ、本当にそう思ってるんですよ」
「ありがとう」