2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty three --**



三浦さんの目に涙が浮かんでいるのが見えた。気丈な三浦さんが、こんなワタシなんかの言葉で泣いてくれている……。


三浦さん、ありがとう……。


「だからね三浦さん、ワタシのお葬式に出てくださいね」

「……え?」

「お願いします」

「……」


ワタシがそう言うと、三浦さんの目からは涙が流れた。


「……はぁ。やっぱり来るんじゃなかったわ。こんなことを聞くために来たんじゃないのよ、私は」


三浦さんはそう言った。


だけど、ワタシにはなんとなく分かる。三浦さんは“看護師”の三浦さんとして来たんじゃないってことが……。


仕事を抜きにして、個人としてワタシに会いに来てくれたことが。


三浦さんとはそういう人だから。


「すみません」

「ほんとよ」


ワタシが力なく笑うと、三浦さんも涙目で笑い返してくれた。


そしてすぐに、三浦さんは、


「正直にね」


と言って、涙を拭いながら帰っていった。
 

< 531 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop