2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty three --**
それからしばらくの間、ワタシは考えにふけっていた。
三浦さんと話ができたおかげで、なんとなくだけど心に余裕というか安心感というか……そういうものができはじめていた。
少しずつ氷が溶けていくような感覚と言ったらいいのだろうか、心が温かくなってきていた。
――ちゃんと話をしたほうが後悔しないんじゃないかな。
直貴たちが来ると目も開けていられないほど怖がっていたワタシなのに、三浦さんからのたった一言でそう考えるようになった。
みんなの顔を見ておきたい、一言でも多くみんなの声を聞いていたい、会話をしたい……。
そんな気持ちの種が芽生え、瞬く間に枝を伸ばし葉をつけていく。
三浦さんからの助言だけは、不思議と素直に聞き入れられた。
「正直にね」
この何でもない一言だけで、ワタシは素直になれそうな気がする。
それはたぶん、信頼する大人だけじゃなくて“三浦さん”という存在そのものが大きなウエイトを占めているんだろうと思う。