2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty three --**



ヒデがいないのは残念だけど、こんな何気ない会話の中にまた1つ、幸せな思い出を増やすことができた。


「……なあ栞、栞にビッグニュースがあるんだけど。聞きたい?」


笑いが自然に収まると、直貴はニカッと笑って聞いた。


こういう直貴の笑顔は、たいてい何かを企んでいるときの顔。ワタシにサプライズを用意しているときの顔だ。


「え、なに?聞きたい」


何も知らないふりをしつつも、ワタシには“教師になることに決めた”と言うのが分かっていた。


この前、寝てるふりをしていたときに直貴が言っていたから。


「次の日曜日に……」


――次の日曜日?


直貴はそこで言葉を切って、雪と目配せをした。


雪はコクッと頷き、再びワタシに笑顔を向けた。


「……」


先生になることじゃないのかな?ワタシは少しずつ笑顔が退いていくのを感じた。


「次の日曜日、俺の両親を栞に会わせようと思ってる」

「……」


――……え?
 

< 536 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop