2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty three --**
ヒデがいないのは残念だけど、こんな何気ない会話の中にまた1つ、幸せな思い出を増やすことができた。
「……なあ栞、栞にビッグニュースがあるんだけど。聞きたい?」
笑いが自然に収まると、直貴はニカッと笑って聞いた。
こういう直貴の笑顔は、たいてい何かを企んでいるときの顔。ワタシにサプライズを用意しているときの顔だ。
「え、なに?聞きたい」
何も知らないふりをしつつも、ワタシには“教師になることに決めた”と言うのが分かっていた。
この前、寝てるふりをしていたときに直貴が言っていたから。
「次の日曜日に……」
――次の日曜日?
直貴はそこで言葉を切って、雪と目配せをした。
雪はコクッと頷き、再びワタシに笑顔を向けた。
「……」
先生になることじゃないのかな?ワタシは少しずつ笑顔が退いていくのを感じた。
「次の日曜日、俺の両親を栞に会わせようと思ってる」
「……」
――……え?