2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty three --**



直貴は“ごめんな?”と言ったあと、ワタシの目を見て黙ってしまった。


――ワタシも何か言わなきゃ。


そう思ったけど、今までにないくらいに心臓がバクバクと音を立てて、ワタシの思考を止める。


プロポーズ、初めてされた……。


ストレートに簡潔に……。
飾りの言葉がないぶん、直貴の言葉は重みを持ってワタシの心へと真っすぐに届いた。


―『正直にね』―


すると、どこからともなくさっきの三浦さんの声が聞こえてきた。


正直に……。
正直に……。
ワタシの気持ちに嘘をつかずに。


「……ありがとう」


やっと一言、口から言葉が出た。


まるでポロッと口が落ちてしまったように、それきりワタシの口は動こうとしてくれなくなった。


今の正直なワタシの気持ちは、この一言だった。


“ありがとう”。
ただ、それだけ。


うれしい気持ちと、
直貴や直貴の家族に申し訳ない気持ちと……。


それから悲しい気持ち。
 

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