2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty three --**



ワタシが“ありがとう”と言うと直貴は心からホッとした顔になった。


「心配しなくていいからな。両親には俺が全部説明するから」


ワタシの手を握りしめ、少し涙目になった目を細める直貴。


「……」


ワタシは声が出せなかった。
代わりに出てきたのは涙だった。ボロボロと流れっぱなしの涙は、頬骨のあたりを伝って枕にしみ込んでいく……。


――ワタシなんかでいいの……?


そう聞きたいけど、涙以外には何も出てこない。


「俺の家族になって。栞じゃないと意味がない。これからは栞の夫としてそばにいたいんだ、俺」


直貴の目からも涙が流れた。


直貴の覚悟。
ワタシを看取るという、最大級の覚悟を見た。


ワタシは……小さく頷いた。


直貴は、ワタシが頷いたのを見るとさらに大粒の涙を流し、くしゃくしゃの笑顔になった。


雪も、涙を流しながらもニッコリと微笑んでいた。


木村さんの言った意味が、今やっと分かった。
 

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