2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty three --**
それからあとのことは、緊張しすぎてよく覚えていない。
それでも、俺のプロポーズに静かに頷いてくれたのだけは覚えている。
俺も栞も雪ちゃんも……。
みんな、涙涙だった。
涙のプロポーズ。
うれしさと悲しさと、ホッとしたのと辛いのと……。
そんなプロポーズだった。
これからは栞の夫としてそばにいたいって、俺はちゃんと言えただろうか。
バレンタインのチョコがきっかけで両親の心が動いてくれたこと、俺はちゃんとお礼が言えただろうか。
……まるで覚えていないんだ。
どんなことを言ったのか、伝えたいことを伝えられたのか、本当に覚えていない。
ただ、俺がどれだけ栞を想っているか……愛しているか、それだけでも伝わって安心した。
栞は、確かプロポーズを受ける前に“ワタシでいいの?”というように目で訴えかけたと思う。
俺は、栞じゃないと意味がない。俺が栞の家族になりたいんだよ。