2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty three --**



それからあとのことは、緊張しすぎてよく覚えていない。


それでも、俺のプロポーズに静かに頷いてくれたのだけは覚えている。


俺も栞も雪ちゃんも……。
みんな、涙涙だった。
涙のプロポーズ。


うれしさと悲しさと、ホッとしたのと辛いのと……。


そんなプロポーズだった。


これからは栞の夫としてそばにいたいって、俺はちゃんと言えただろうか。


バレンタインのチョコがきっかけで両親の心が動いてくれたこと、俺はちゃんとお礼が言えただろうか。


……まるで覚えていないんだ。


どんなことを言ったのか、伝えたいことを伝えられたのか、本当に覚えていない。


ただ、俺がどれだけ栞を想っているか……愛しているか、それだけでも伝わって安心した。


栞は、確かプロポーズを受ける前に“ワタシでいいの?”というように目で訴えかけたと思う。


俺は、栞じゃないと意味がない。俺が栞の家族になりたいんだよ。
 

< 544 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop