2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty three --**
それからしばらくの間、栞が眠るまでそばに付いてたあと、俺と雪ちゃんは静かに集中治療室を出た。
気を確かに持っていたつもりだったけど、廊下に出ると腰が抜けてしまった。
「大丈夫ですか?桃原さん」
「……う、うん」
廊下の壁に背中をつけてヘナヘナと崩れ落ちる俺を見て、雪ちゃんは心配そうに声をかけてくれた。
「情けねぇな!」
すると、ヒデの声が廊下を響いて聞こえてきた。
「ほら。肩」
俺の前まで来ると、ヒデはそう言って肩を貸してくれた。
立ち上がりながら、
「悪いな」
と俺が言うと、
「何言ってんだよ、バカが」
と、ヒデは軽く笑い飛ばした。
ゆっくりと病院の玄関まで歩く俺たちの後ろには、雪ちゃんが黙ってついて来てくれた。
ヒデと雪ちゃんの気遣いがたまらなくうれしい。
栞を支えるのが俺なら、俺を支えてくれるのはヒデと雪ちゃんの温かさだ。