2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty three --**



バシッ!


「いでっ!」


赤くなる顔を隠しつつ“おう”と言うと、突然背中を叩かれてしまった。


“何すんだよ”という目でヒデを見ると、ヒデは少し潤んだ瞳を俺に向け、感無量だという顔をしていた。


――ヒデのこんな顔、初めてだ。


俺は言葉に詰まる。
雪ちゃんも何も言えない様子だ。俺たちの背後にいるから分からないけど、雰囲気でなんとなく分かった。


「あとは親父さんとおふくろさんだけだな。……頑張れよ」


そして、最高の笑顔と最高の言葉をかけてくれた。


「大丈夫。俺が本気だってこと、ちゃんと分かってくれてるから」


俺も最高の笑顔を返す。


「そうだよヒデくん。大丈夫、2人なら大丈夫だよ」


雪ちゃんもそう言ってくれた。


「そうだな」


ヒデが言う。


「そうだよ」


雪ちゃんも言う。


俺は2人を見て1回、深く頷く。そしてそれぞれの家路についた。
 

< 549 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop