2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty four --**
洗面所では父ちゃんがヒゲ剃りに失敗し、化粧台の前では母さんが口紅を塗るのに手間取っていた。
「しまった!」
「あっ!」
という2人の声が、リビングで眠気覚ましのコーヒーを飲んでいた俺をビクつかせたりもした。
それは、危うくマグカップを落としそうになるくらい大きく響いた声だった。
俺と同じくらい、いや、もしかしたら俺以上に2人は緊張していたのかもしれない。
やっと出かけようと玄関を出るときになってまで、2人の緊張は治まることがなかった。
靴に履き変えようとスリッパを脱いだ父ちゃんは、靴下が色違いだった。
それから、母さんが履いたのは靴じゃなくてサンダルだった。
おかげで少し出発が遅れるといった始末。……それはもう、大変な朝だった。
俺はというと、車の鍵を持ち忘れてしまって、車に乗り込もうという寸前まで気づかなかった。
運転手をかって出た俺としては、痛恨のタイムロスだった。