2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty four --**



そういうわけで、約束した10時には少し遅れてしまったわけだ。


行きの車の中。
落ち着かない様子で後部座席に座る2人に、俺は最後にあるお願いをした。


「父ちゃん、母さん、彼女を見ても絶対引かないでほしい」

「ああ」

「分かってるわ」


俺がバックミラー越しに頼むと、2人は少し間をあけて言った。


「それならいいけど。アルバムは8月の写真までだから、その頃を想像してるんだったら今すぐ忘れて」

「……」

「……」


父ちゃんと母さんは、無言のまましっかりと頷いた。


「俺が結婚したい人は、そういう人だよ。それでも俺は好きだからさ……」

「分かった」

「……そうね」


その会話を最後に、病院に着くまで沈黙が続いた。


日曜日の道路はいつもより空いていた。俺たち家族が乗った車は快調に進み、赤信号に少し引っかかったくらいだった。


そして、家を出てから20分後、俺たちは病院に着いた。
 

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