2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty four --**
前の晩、俺は2人に栞に会ったときのことを話していた。
体力も落ちて話すのも大変な状況だから、むやみやたらに栞に話しかけたり聞いたりしないでほしいと。
にも関わらず、父ちゃんはあいさつが済むと栞に聞いた。
「……小峯さん、あなたは直貴がいいんですか?」と。
話が違うじゃないかとすぐに止めに入ったけど、父ちゃんに片手で制されてしまった。
仕方なく引き下がると、父ちゃんはもう一度聞いた。
「直貴でいいんですか?」と。
その問いに、栞は真剣な眼差しを向けて「……はい」と答えた。
もう俺が割って入れる隙間なんてなかった。栞と父ちゃんの、真剣な者同士のぶつかり合いだった。
俺は当事者なのに蚊帳(カヤ)の外に出されてしまった。
そしてそのまま、目と目で語り合う栞と父ちゃんの空気に一瞬にして飲み込まれていった。
イエスかノーか。
その瞬間を、俺は固唾(カタズ)を飲んで見守るしかなかった。