2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty four --**
しばらくすると、栞についていなさいと父ちゃんと母さんは帰っていった。
気を利かせてくれたんだろう、夫婦としての初めての時間を作ってくれた。
2人が帰ったあとは、俺も栞もボーッとしたまま。
早く休ませてやらなきゃいけないのに、俺は気が抜けていた。
栞と話がしたい。
栞の口から、もう一度“好き”だと聞きたい。
そういう気持ちもあったけど、近くの椅子に倒れこむように座るとそんな気持ちもしぼんでいった。
そんな中での少しだけの会話。
夢の中にいるみたいだとか、奇跡みたいだとか……。
それも、現実味が湧かなくて中途半端な返事しか返せなかった。
まるでしぼんだ風船。
脱力感が俺の思考を止めていた。
男としては、結婚は人生の中での究極の選択。俺にとっては“夫として栞の最期を看取る”という並々ならぬ決意と覚悟がいることだった。
それが認められた今はだけは、起こった奇跡に酔いしれていたかった。