2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty four --**



栞が深い眠りに落ちていったのを確認すると、俺はそっとその場を離れて電話をかけた。


1つは、ヒデに。
「結婚できる」と報告したら、
ヒデは「……そうか。よかった」と電話の向こうで泣いていた。


もう1つは雪ちゃんに。
ヒデと同じことを言ったら、ヒデと同じように電話の向こうで泣いていた。


そして、香織にも。
俺の報告を聞くと、
「おめでとう」と一言。
涙で鼻がつまった声で、そう言ってくれた。


香織には恩があると俺は勝手に思っている。だから、栞との行く末を報告する義務があった。


俺を想って身を引いてくれた香織には頭が上がらない。


香織からもらった大きな気持ちをちゃんと返したい、そう思って、香織にも結婚の報告をした。


さまざまな人に支えられながら、俺と栞は“今”を生きている。


そして、これからは“今”を一緒に生きていく。


このよき日の船出は、そんな大事な人々に支えられながらのものだった……。
 

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