2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twenty five --**
1月には、ワタシがエイズだと知っても“好きだ”と言ってくれた直貴とつき合いはじめた。
でも、バレンタインの日を境にして気持ちがすれ違いはじめてしまった。
そして、2度も直貴の気持ちを踏みにじる結果に……。
それをあの1本桜はずっと見ていてくれた。直貴の弟さん――樹紀さんも、ずっと見ていてくれた。
それから約半年経ち、花火大会の日にやっと、お互いに素直になることができた。
2人の気持ちが通じ合っても、それでもまだまだ厳しい道のりは続く。
ワタシにとっては、直貴と一緒にいてもいいのかという迷いの道。
直貴にとっては、ワタシの最期を“夫”として看取るために結婚をするという覚悟の道。
厳しかった。
厳しかった……。
でも、こうして支えてくれる人たちがいてくれたからこそ、ワタシは“ワタシ”であって直貴は“直貴”でいることができた。
11月22日。
直貴と出会ってちょうど1年が経った日、ワタシは“桃原栞”になった……。