2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty five --**



唇が離れていくと、ワタシはうっすらと目を開けた。


その目に見えたものは、今にもこぼれ落ちそうな涙を目にためた直貴の切ない顔だった。


「ワタシからも言わせて?」


息がかかるほどの至近距離。
目の前にいる直貴に向かって、ワタシはそう言った。


「なに?」

「ワタシのほうこそ、愛してる」

「……」


そう言った瞬間、直貴の目にたまっていた涙がワタシの頬にポタンと落ちた。


「直貴、ワタシさ……最後までちゃんと生きるから。絶対後悔しないように生きるから。だから直貴……ワタシのそばにいてね?」

「……当たり前だろ」

「ワタシが死んだらさ……」


“ワタシの灰をあの桜のそばに撒いてね”


そう言い終わる前に、また直貴に唇をふさがれてしまった……。


今度は力のこもったキスだった。


“今は何も言わないでくれ”


そう言っているようなキス……。


ワタシは、再びそのキスに身を委(ユダ)ねた。
 

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